パソコン昔話 第1回(ディスプレイ)
 
 我が家の電化製品には最近故障が多い。それもその筈でその殆どは筆者が一人暮らしを始めたころ(’85年〜’87年)に買い揃えたものである。とりわけ、ここ関西に引っ越してから(わずか1年足らずなのだが)というもの、ビデオ、CD、そしてさらに昨日、アンプ、スピーカーとパソコンディスプレイが次々と故障した。それらが壊れた時には、代替製品を買おうと思って売場を見て回るのだが、どうも買いたいと思うものがなく、現在我が家にはCDもビデオもないのである。まあ、いずれは買うつもりではあるが。
MZ-6545s.jpg いきなり話がそれた。今日はパソコン昔話をしてみようかと思っている。どこまで興味を引いていただけるのか正直あまり自信はないですが。さてその第1回目はディスプレイです。筆者が昨日お役御免にしたSONY KX-14HD1(右写真、半分しか写っていませんが。。)という製品を中心にしてお話をしてゆきましょう。この製品は’86年に筆者が10万円(定価12.5万円)で購入した14インチディスプレイで。当時としては珍しかった(当時のMacを除く)国内で発売されている全てのパソコンに繋がるもので、ソニー初のディスプレイであったように記憶している。製品は当時ソニーが販売していた、プロフィールと呼ばれていたテレビチューナーのないテレビモニターのシリーズだったが、その外観はプロフィールの他のインチのものとは違って、いかにもパソコン用ディスプレイですという形をしていた。その割りにはビデオ入力端子が付いており、ご丁寧にパソコンとテレビの切り替えスイッチまでつけられていた。この製品を購入して数日後、日本暴走協会が「テレビを購入されたようですが受信料をお支払い下さい」とすかさず集金に来たのには笑えた。
 その、入力端子にはDigitalRGB8pinとAnalogRGB24pin(とビデオ端子)が付けられ、マニュアルにはこう記されている。DigitalRGB8pinに対応する機種は、PC-8001mkII,8801mkII,9801(NEC),FM11,FM NEW7,77(富士通),PASOPIA 7,16(東芝),PC,PCジュニア(IBM)とある(うーーん、懐かしい)。ちなみにIBMにPCとあるのは当時日本IBMより発売されていたIBM5550Series、PCジュニアとあるのはIBM JXのことで、いわゆる本家のIBM-PCはまだ日本には登場していない。またAnalogRGB24pinに対応する機種としてはSMC-70,70G,777,777C(SONY)とあるが、これはソニーが松田聖子をそのイメージキャラクターとして販売していたMSXのパソコンの事である。恐ろしいことにDigitalRGB8pin端子というのは8色しか発色出来ない入力であるから、当時のパソコンの殆どが最大8色しか出なかったことになる。また現在主流?のAnalogRBG15pin(D-sub15pin)の規格はまだ当時存在しておらず、各メーカーからこの後発売されることになるたくさんの色が出るパソコンのディスプレイ端子としてAnalogRGB15pinなどの新しい規格が出てくる事になる。考えて見ればS-映像ビデオ端子ですらもこの当時まだ存在してない。
 またその機能には、15kHzから34kHzまでの全ての水平同期周波数に自動的に対応するマルチスキャン機能がこれまた日本で初めて搭載されていた。多くのパソコンが15kHzか24kHzが採用されていた中、34kHzが一体何の為に付けられたのかとっても謎ではある。もう一度マニュアルをよく見ると、高密度キャプテンデコーダ(31.5kHz)にも対応とある(キャプテン!どこに行ってしまったのでしょう?)。同時にソニーからはテレビ入力を31.5kHzに変換するスキャンコンバーターなる無意味な製品も発売されていた。その直後NEC からPC-98XAなる31kHzを入力とする(ハイレゾモードと呼ばれ1120*750dotを表示する)パソコンも発売されたが、残念ながらこの製品はドットピッチが0.37mmとそれに対応するには不充分であった。またこのマルチスキャンディスプレイは、その後もかなり長期にわたってソニー以外のメーカーから発売されることはなかった。その代わりにバイスキャン(15kHzと24kHzか24kHzと31kHz)や3モード(15kHz,24kHz,31kHz)などの特定の水平同期周波数だけに対応するディスプレイが各メーカーの製品群に合わせて発売されていった。
 当時パソコンと言えば、8ビット機は花盛りでNEC PC-8801、SHRAP X1やMZSeries、富士通 FMSeries、そしてソニーを含むその他大勢からはMSXが発売され派遣争いをしていたころである。家庭用には8ビット機、ビジネスには16ビット機と使いわけられていた時代でもある。とりわけ16ビット機は高価で(因みに筆者の愛機MZ-6545は定価99.8万円!である)まだまだ家庭用には購入出来るような代物ではなかったのである。
 今では入力端子の形も大きく変わり、マルチスキャンディスプレイは当たり前になり水平同期周波数もノンインタレスタイプの31kHz以上の高周波数のものが用いられるようになってきている。ところで、筆者はこの既にだいぶがたが来ていたディスプレイを、なぜ今まで大事に持っていたか?それは今では絶対に買うことの出来ないDigitalRBG8pinを入力できるからで、それをMZ-6545に繋いで使うのである。ディスプレイ規格が変わることでこの機械をもう使うことが出来なくなるとは困った時代になったものである。
 
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