01/10/20 当世ストアードフェアカード考
 
 交通事業者の発行するストアードフェアカード、最近種類も増えてきて解りにくいところもある。今日はそこらへんの解説を試みようと思う。
 さて、実は大阪近郊(以下大阪と省略、他都市も同様)のそのシステムは東京のそれとは違いとっても解りにくい。一般には大阪では「スルッとKANSAI」と呼ばれるストアードフェアカードが流通しており、これで殆どの私鉄に乗れるという理解でほぼ間違いない。実際には鉄道でもバスでも同一会社線にこのカードで乗れる区間と乗れない区間が混在して解りにくいところもある。しかし、そんなところはいずれ改善されてゆくであろうからさして問題ではない。
 今日問題にしたいのはその割引についてである。東京では「バス<共通>カード」と呼ばれるバスだけに通用する、ストアードフェアカードが存在し、東京、神奈川、埼玉、千葉の各都県の対応するバス路線に通用する。しかもその割引率は1000円のカードで10%(100円)のプレミア、3000円のカードで12%(360円)のプレミア、5000円のカードでは何と17%(850円)のプレミアが付く。このカードは従来の回数券の代替の意味合いもあるので、従来の回数券並みの割引率を設定しているからだ、近年では単独事業者の回数券が販売されている姿を目にしなくなった。(バス回数券・定期券などの専用の販売所ではまだ売られているのだろうか??)それに対して大阪ではバスに共通で通用するストアードフェアカードは、何と「スルッとKANSAI」だけなのである。ということは、恐ろしい事にその割引率は5000円のカードでも0%の0円である。では、バスの回数券は?。これが各事業者毎に個別の回数券なり回数カードが発行されているのである。実にお寒い限りである。そんな訳で今日はこの辺をまとめて見ようかと思う。
 
 東京
 JR(東日本)だけに乗車出来る「iO-CARD」と、JR以外の殆どの鉄道線(営団地下鉄・都営地下鉄・横浜市営地下鉄を含む)に利用出来る「パスネット」なるカードが存在する。その券種は1000円、3000円、5000円と「iO-CARD」には10000円があるが、残念ながらこれらの割引は0%である。バスには、先ほども述べたとおり、東京、神奈川、埼玉、千葉の各都県の対応するバス路線に通用する「バス<共通>カード」があり最大17%のプレミアが付く。
 また、カード式ではないが、営団地下鉄や都営地下鉄には金額式の回数券が存在する、これはどの駅からでも乗車出来て、しかも着駅でその差額のみを支払えばよい回数券である。これをストアードフェアカード代わりに使用する事が出来る。販売は営団地下鉄が1600円から、都営地下鉄は1700円からでそれぞれ11枚(10%のプレミア)が最低単位となる。しかし3ヶ月の有効期限があるのが最大のネック。
 横浜
 横浜では東京の項で解説した、地下鉄の回数券以外の全てのストアードフェアカードが使用できる。これ以外に横浜市営地下鉄と横浜市内を走る殆どのバスに使用出来る「MarineCard」というカードがある。このカードは1000円のカードにはプレミアはないが、3000円のカードで6.7%(200円)のプレミアが付く。
 名古屋
 JR(東海)のお膝元だが、不思議な事にJR(東海)に乗車出来るストアードフェアカードは存在しない。使えるのは券売機で切符が買える「オレンジカード」だけである。(因みに「オレンジカード」は現在1000円と3000円の2種類があるがいずれもプレミアは0%と実に無意味だ。)名古屋駅の券売機で切符を買うと裏が白い事に新鮮な感動を覚える。名古屋で唯一のストアードフェアカードは、名古屋市営地下鉄、市営バスとゆとリートラインと、さらに基幹2系統を走る名鉄バスに利用出来る「ユリカ」と呼ばれるカードがある。このカードは1000円のカードにはプレミアはないが、2000円のカードがあり10%(200円)のプレミアが付いていてちょっとした旅行にも使えそうである。このカードには面白いことに残金が少なくなってきたら積み増しをするシステムがある。それ以外の私鉄には、ストアードフェアカードは存在しない。こんなにでかい私鉄が雁首そろえているのに、不思議な話もあるものである。
(以下、’01年11月25日追記)
 名古屋市交通局には地下鉄のみに乗車できる「1区特別回数券」と呼ばれるものがあり、2000円で200円区間を12回乗車出来できます。しかも、この回数券で乗り越しした場合はその差額のみを清算すればいいので便利なのだが。3ヶ月の有効期限があって残念。名鉄にはJRのオレンジカードに相当する「パノラマプラスカード」と呼ばれるカードがあって、名鉄と名鉄バスの両者で使用出来る上、3000円のカードで100円のプレミアがつきます。券売機で切符を買わなければならないのは面倒ですが。
 
 なんか、長くなりそうなので2回に分ける事にします。
 これまでのところを表にまとめて今日はこれまでとします。
 次回をお楽しみに。
 
ストアードフェアカードのプレミア
 東京横浜名古屋
JR
iO-CARD
プレミアなし
←同じなし
地下鉄
パスネット
プレミアなし
マリンカード
3000円で6.7%
ユリカ
2000円で10%
JR以外の私鉄
パスネット
プレミアなし
←同じなし
バス
バス<共通>カード
1000円で10%
バス<共通>カード
マリンカード、ともに使用可
ユリカ
2000円で10%
凡例 赤文字:あり 白地:10%以上
 
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