相場を計るものさし(日経平均株価とは?)
株が上がったか下がったか。それを知るにはどうしたらよいでしょう?答えは簡単で株価を見ればよいのです。しかし相場全体で上がったか下がったかとなると急に難題になります。なにせ東証1部だけで1000以上の会社が上場しておりそれを全部見比べて上がったか下がったか判断するのはなみたいていの事ではありません。そこで東京証券取引所の株価のものさしとして、インデックス指数というものが開発されました。東証1部上場銘柄に対するインデックス指数としては、日経平均株価、TOPIX(東証株価指数)や日経300種平均株価、日経500種平均株価などがあります。そのうちここではよくニュースで取り上げられる日経平均株価とTOPIXについて解説してみましょう。
実は筆者は株を始めてから随分と長い期間、この日経平均株価というものが何者か全然解りませんでした。日経平均株価の算出式は一般的には次のように表記されています。
「
日経平均株価=日経平均株価合計/除数※
※除数の修正:採用銘柄中に市況変動によらない株価変動があった場合、原則として除数を修正する。また、採用銘柄の入れ替えがあった場合に除数を修正する。’01年3月23日現在の除数は21.037
」とあります。
このあと除数の算出式が掲載されることもあるわけですが、この時点で読む気をなくしています。また、解説書などでは次のように記載されています「単純平均ではわからない増資権利落ち分を修正した株価指数」。どうですか?理解出来ましたでしょうか?少なくとも筆者の頭では全く理解できませんでした。
そこで実際に計算してみることにしました。ここで日経平均株価に採用されている225銘柄を全部計算するとそれだけで日が暮れてしまいますので、ここでは仮想2銘柄のインデクス指数として日経仮想2銘柄平均株価を算出することにしましょう。なお、銘柄Bは2日目に1:1.3分割(増資)を実施しているとします。
| 基準日 | 2日目 | 3日目 |
銘柄A(株価) |
580
|
654
|
882
|
(発行株式数) |
1000
|
1000
|
1000
|
銘柄B(株価) |
300
|
228
|
350
|
(発行株式数) |
3000
|
3900
|
3900
|
単純平均 |
440.00
|
441.00
|
541.00
|
日経仮想2銘柄平均 |
440.00
|
475.20
|
582.96
|
除数 |
2.000
|
1.856
|
1.856
|
仮想TOPIX |
100
|
81.82
|
100.37
|
この例では2日目の増資によって除数が変更されています。計算式は次のとおりです。
除数=[除数修正前の日経仮想2銘柄平均株価]/
[この分割が無かった場合の日経仮想2銘柄株価合計]
除数=[(654*228)/2]/[(654+228*1.3)]
となります。
ところで、日経平均株価は大きな欠点を持っています。それは上の例でも現れていますが、指数の値動きが値がさ株に左右される点です。基準日の日経仮想2銘柄平均株価をもう一度見てみましょう。その算出式は当然ながら次の通りです。
日経仮想2銘柄平均株価=(580+300)/2
つまり、平均株価の算出に銘柄Aを銘柄Bの約2倍の会社として評価している事になります。ところがこの例では時価総額(株価*発行済株式数)が大きい会社は銘柄Bです。そこでインデクス指数の算出には発行済株式数の加重平均を用いなければならないという考え方が出てくるのは当然の事です。これを東証1部上場全銘柄で算出したものがTOPIX(東証株価指数)になります。
以上ですが、ご理解していただけましたでしょうか?最後にもう一度、この2つのインデックス指数をまとめてこの項を終わりにしましょう。
インデックス指数 | 日経平均株価 |
TOPIX
(東証株価指数)
|
算出方法 | 株価の単純平均を増資権利落ちによる変動を除数により修正する。 | 株価に上場株式数を掛け算し指数化したもの。(基準日の指数は100) |
基準日 | ’49年5月19日 | ’68年1月4日 |
対象銘柄 |
225銘柄
(東証1部上場銘柄の18%)
| 東証1部上場全銘柄 |
発表している機関 | 日本経済新聞社(以前は東京証券取引所が東証平均株価として発表していた) | 東京証券取引所 |
特徴 | 値がさ株の影響を受けやすい。 | 市場実勢を最もよく反映している。大型株の影響を受けやすい。 |